天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

社会の科目別分析

【地歴】満点近い高得点狙いや2次でも必要な人ほぼ世界史の一択。9割程度でいいならお好みで。いずれの科目も万遍ない出題が特徴。日本史、地理については中学までの積み重ねも重要なので注意。

日本史…詳説日本史学習ノート よくでる日本史B一問一答重要用語問題集 日本史B正誤問題集

 用語レベルだけを見れば高くはない。しかし、重要事項についてはかなり細かい内容が問われることもあり、悪問がちらほら。選択肢もいやらしいものがある。資料問題や文化史もふくめ万遍ない出題なので教科書だけでは8割も厳しいだろう。よほど自信ののある人にしか勧められない。

世界史…詳説世界史B(教科書)

 用語レベルにはかなりの制限があり、細かい事項の出題は皆無。ヨコの歴史が問われているとはいえ、地図や年代も大雑把に覚えていれば対応可能。注意すべきはマイナー地域も含めて万遍なく出題されること。ヨーロッパや中国に偏った学習では伸び悩むと思われる。

地理…権田地理B講義の実況中継 はじめる地理40テーマ センター試験への道

 暗記事項は多くないが、0ではない。地理的思考力が問われるため考え方を身につけるためにも問題演習がほぼ必須。図表問題が多く出題され、地域的な偏りにも配慮が見られる。系統地理の全分野、全地域の地誌について苦手部分を残さないようにしなければ高得点が取れない。

【公民】短期間ですませるなら現代社会が有利。ぶっつけで受ける生徒が多いので平均点が同じなら他の科目より易しいと思っていい。時間をかけて堅くとるなら倫理。政経は中学までの積み重ねも重要で時事問題がカギ。いずれも世界史選択ならやや負担が減る。
 
政治経済…小泉のセンター攻略政治・経済  代ゼミの時事講座

政治学・経済学に分類されるような分野の知識では経済史が必要なくらいで、暗記量が多いわけではなく計算問題も難しくはない。しかし、時事問題の配点・難易度が高く市販の参考書で対応するのは困難。その年のできごとを押さえればいいというものでもないので、高校入学前後から欠かさず新聞を熟読してきたような奇特な受験生にしか勧められない。

現代社会…超よくわかる現代社会の講義 現代社会の最新時事

簡単な国語・算数としてその場で処理する問題が多い。国際関係(特に現代史)だけは知識問題が中心で多少突っ込んだ出題もあるので重点的に学習しておくと良い。時事問題は政治経済と比べれば量的にも質的にも軽いため対策しやすい。ここ2年は知識問題の比重が高く、地理選択者や中学レベルの公民がきちんと押さえられている受験生が有利になっている。

倫理…現代の倫理ノート新課程用  センター試験への道

現代文として解ける問題がある程度含まれる(現代社会よりは難しめ)ものの、日本史・世界史の文化史のような知識問題が中心なのでしっかり暗記していれば得点は安定しやすい。なお、倫理の暗記量が地歴公民中でもっとも少ないと言い張る者も多いが、それは単に彼らが倫理以外の公民科目をよく知らないためだと思われる。実際の暗記量はさすがに現代社会よりは多い。
  参考書の詳細情報はこちらhttp://myshop.7andy.jp/myshop/glssyobo?shelf_id=09