天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

来年度以降のセンター試験の科目選択について

2012年度からセンター試験の時間割が変更され
「地歴・公民」「理科」で科目選択のバリエーションが増えます。
さらに公民では「倫理・政経」という科目が新設され、多くの難関大で「倫理」や「政治経済」の選択が不可能になります。
現代社会」については判断が分かれているようです。
同じ大学でも学部によって違う、ということがあるなどかなり複雑なので、必ず個別に確認してください。
代ゼミではこの情報をまとめたものを公開しているようです。
http://www.yozemi.ac.jp/nyushi/joho/12/center_henko/index.html

一方で、地歴の中から二科目選択する事が可能な大学も多くなっており
東大志望者が二次で使うのと同じ科目をセンターで受験する事ができます。
他の難関国公立も同じく「日本史・世界史」や「世界史・地理」での受験が可能になります。
東大志望者や、東大を視野に入れて勉強したい人はこれらの組み合わせを選択すればよいということです。

北海道・東北を例にとって見ると
北大や東北大、それに福島大学経済学部では公民を使うなら「倫理・政治経済」以外が認められません。
ただし、「世界史・地理」のように公民を含まない選択も可能です。
北海道教育大学や、青森県立保健大学社会福祉)のような特殊パターンもあります。
北海道教育大学は「倫理」「政治経済」を選択できませんが地歴2+理科や理科2+地歴のように公民を外すパターンが可能。
一方、青森県立保健大学社会福祉)の場合は公民が必須なので地歴一科目に加え「現代社会」もしくは「倫理・政経」がひつようになります。今まで同様、互いに関係の深い「地理・現代社会」の組合わせが有利と見られます。
首都圏だと、東大、一橋が「政経・倫理」のみ。
ただし東大二次で地歴2科目が必要なので公民をあえて選ぶ人は少ないでしょう。
お茶の水女子大学は特に制限がないようです。
筑波大学・埼玉大・千葉大学横浜国立大学は学部によって異なるので注意が必要ですね。

そのほかの地域だと
阪大は東大・一橋と同じ。
名古屋大・京大・神戸大・広島大・九州大あたりも学部によって違いがあります。
特徴的なのは例えば九州大学の法学部。東大や京大を意識しているのか、地歴二科目を必須としているのです。
法学部ならむしろ公民のほうが学部に直接関係ありそうなのですが、それよりもむしろ背景知識の方を押さえてきてほしいという意図にも読み取れますね。

さて、これを踏まえての対策ですが東大を意識する場合は「世界史・地理」の選択がスタンダードになるでしょう、
日本史だとセンターの負担も東大二次との傾向の違いも大きくなるからです。
 「倫理・政経」と「現代社会」の違いですが「現代社会」は倫理より政治経済の比重が大きくなっており、時事問題など高得点を計算しにくい要素があります。この二科目のうちから選ぶパターンなら、高得点が狙えそうな「政経・倫理」を選ぶつもりでも「政経」の分野を中心に勉強して、倫理分野を覚える時間がなさそうなら現代社会に変えるという戦略が考えれれます。
 また、「世界史・地理」のようなパターンを考えられない(東大は視野に入らない)場合なら、逆にやや平均的なランクは落ちる大学・学部への変更を視野に入れることになるでしょう。すると「政治経済」や「倫理」を選択する可能性もあるわけです。やはりどちらか一方の分野に絞って深く勉強しておくのがいいのではないでしょうか。「倫理」は国語の難解な文章に、「政治経済」は英語の時事的な文章への波及効果がありますから、決してムダにはなりません。