天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

センター試験 講評

○全体の平均点について

文系にとっては、生物・地学の難易度上昇は結構大きいです。しかし、数学1Aの易化がもっと大きいことなどからそれなりに平均点は上がるでしょう。文系にはあまり関係ありませんが、物理・化学は昨年の二次並みの問題から例年のセンターらしい問題に戻ったことで平均点が上がりそうです。

○上位層の動向について

平均点が上がりそうとはいえ、上位層にとっては得点が伸ばしにくかったのではないかという科目が結構あります。物理・化学も含めた理科がそうじてそうなっていますし、英語・国語にも満点を取らせまいとするような設問があります。難問が序盤に配置される科目もあり、調子を崩した受験生もいそうです。結果、文系科目が9割近いところで伸び悩みそうなので難関国立大学や難関私立大学センター方式のボーダーラインはさほど上がらないものと思われます。ただ、数1A易化の影響が大きそうな慶應法はラインが9割を超えるかなりの激戦になりそうです。

○科目ごとのポイントについて

 国語は文章量が多く、一部に難問を含むというセンターらしい出題でした。基本の読解力はもとより、難問があるときの対処など時間配分の練習ができていたかどうかで差がついているでしょう。漢字がやや難しかったようですが、二次や私大でも国語を使うのに間違えた人は要反省です。

 英語(筆記)は第一問が難しく、これが尾を引いて第二問でミスをしたのではないかというようなケースも目に付きました。一方で、読解は総じて易しく難関文系志望者なら大きく落とす事は考えにくいです。点数は9割前後に集中し、190を超えるような点数は出にくいでしょう。

 数学1Aはなんと言っても最初の計算がやや複雑になることがポイントです。ここで慌てたりしなければ問題なく9割確保できるバランス。受験生以外の皆さんにもぜひ解いてほしいと思います。
 数学2Bも数列がやや難しい以外は典型問題そのままですが、やはり微積(まともにいった場合)やベクトルの計算量が多く十分な訓練が出来ていないと厳しいでしょう。

 公民は倫理、現代社会が易しい問題から入ってきたのに対して政治経済は第一問が難しいのでやはり調子を崩した人がいるかもしれません。時事的なものも含めて経済分野がにがてな人には厳しいと思います。

 地歴はどれも細かい知識問題が減り、「蔡倫が活躍した時代」など典型的なポイントをついた正誤問題や消去法で説ける問題が多くなっています。私大型の勉強をしてきた人が伸び悩む一方で、センター対策をしっかりやってきた人は報われる出題といえると思います。