天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

公立小中学校にも難しい授業が出てくる

 公立の小中学校ではものすごく基本的なことしか教わらない、という常識が過去のものとなりつつあります。正確にいうと、すでに小学校では崩れています。このままだと再来年には中学校でも崩れることになるでしょう。

 

 難しいのは国語や算数、数学ではありません。小学校で新しく科目化された英語です。小学校英語は、そのコンセプトがほかの科目とは全く違うようです。国語や算数など、他科目では簡単なことしか教えないが、その簡単なことは全員が完璧にできるようにしようという建前の授業が行われています。ところが、英語はアルファベットすらおぼつかない程度の練習しかしないうちに、高校入試レベルの音声を聞かせたり話させたりします。もちろん、授業だけではそのレベルの単語の読み方も、なぜそういう意味になるかもわかりません。「わからないことだらけでもとにかくやってみよう」というコンセプトの授業なのです。

 すると、どうなるか。ほとんどの生徒はわからないことだらけのまま進んでいく一方、小さいころから英語を習っていたりしてある程度の読み方を知っている子はどんどん力をつけていくことになるでしょう。初歩的な文法を理解している子なら英検4級合格程度の学力はつくのではないでしょうか。

 

 中学校でも2020年から覚える単語の量が1800語に増やされ、小学校の700語と合わせて2500語となります。これは、難関私立中学校で扱う「NewTresure」など検定外教科書に出てくる量に匹敵します。さらに、扱う文法事項も高校内容だったものが追加されます。しかも今までのような読む・聴く(基本)重視ではなく、話す・書く(応用)も同じウェイトで学習する4技能型。わかりやすく言えば、公立中学校でも今の難関私立中レベル、あるいは難関私立高校入試レベルの英語を扱うようになるということです。

 

 経験上、そのレベルの英語を学習するには国語を中心にほかの科目でも相応の学力が必要になるので、はっきりいってほとんどの生徒にとっては無謀だと思います。これからの小中学校はどうなってしまうのでしょうね、