天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

そもそも筑波大附属から東大は難しいという話

 一部の女性誌などで筑波大附属高校が話題になっています。偏差値が高く、東大に進学するには有利な学校のようなイメージで語られているようですが、それは間違いと言っていいでしょう。

 まず、筑波大附属高校のような国立高校は基本的に大学入試対策をしません。進度にしても、有名私立はもとより一般的な公立の進学校よりも遅いくらいです。では、なぜ東大合格者が多いのか。実は高校のカリキュラムや入試制度はほとんど関係なく、附属の中学校が「鉄緑会」の指定校になっているからというのが大きいのです。

 「鉄緑会」とは、乱暴な言い方をしてしまえば、中学入学前後から見込みのある生徒を集め、さらに徹底的なスパルタ教育で大量の東大合格者を出している塾です。筑波大附属高校の東大合格者が多いのは、彼らが6年間鉄緑会で学んだ結果であり、高校で素晴らしい受験対策をしたからではないのです。

 もちろん、筑波大附属からの東大合格者全員が鉄緑会山口真由さんのようにものすごく優秀な生徒がたまたまそのまま東大に合格するというケースもなくはないのですが、これも多数派ではありません。ここは地方トップ校とは事情が異なるところで、首都圏には筑波大附属高校よりも偏差値上位の学校がいくつも存在するからです。中学受験・高校受験とも、筑駒や桜蔭といった本物のトップ校、あるいは各地方のトップ校に見られるような異次元の天才、ドラゴン桜で「宇宙人」と呼ばれるような層は、筑波大附属高校にはあまり集まりません。

 ちなみに、鉄緑会は年何度か入会試験を実施しており、それに合格すれば指定校以外から通うことも可能です。東京で鉄緑会指定校以外から東大を目指すのであれば、大手予備校に通う、学校の勉強を頑張るといった地方の生徒がよく使う手段以外にも、まずは「鉄緑会の入会試験を目標に勉強する」という選択肢があります。