天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

附属札幌中と札幌開成中の斬新な入試問題

 北海道の今年の中学入試、私立はおおむねどこかで見たような問題だったかと思います。総じて合格ラインも高くないので、類題を練習してきた子たちは難なく合格していったことでしょう。

 一方、私立とは段違いの倍率になる国立の附属中と市立の開成中では斬新な問題がありました。どちらも意図は非常によくわかるのですが、予想外の出題なので面食らった受験生も多かったのではないでしょうか。

 附属中は例年通りほとんどが基本問題だったのですが、その出題分野に特色がありました。算数は従来の傾向が先鋭化。これほんとうに算数?という問題が目立ちました。さらに面白かったのが理科。定番の「分野の偏りのない」出題ではなく、思い切り分野に偏りのある出題でした。そして面接・集団活動は時間を短縮して強行。コロナ対応として出題範囲が狭くなった入試で、ここぞとばかりにやってみたかったことをやってやった感がありますね。

 札幌開成は適性1(理系)がここ数年の極端な難易度の問題と比べると、適度に差がつく良問だったかと思いますが適性2(文系)は斬新でした。こちらに問題が公開されている通り、なんと問題文中に作文の採点基準が明記されているのです。大問1に至っては、解答例まで書かれているという親切さ。たしかにこれまでも条件を細かく指定していたため、採点基準を明記するのに近い出題ではありましたが、今回は「その条件から採点基準を読み取る力は要求しない」ということを明言した形です。二次試験(グループ活動)の中止を視野に入れた出題という意味もありあそうですが、入試で試される「表現力」とはどういうことかを端的に示す格好の例となるかもしれません。