北海道教育大附属札幌中学校(通称附属中)は過去問を公開しておりません。
また、特定の大手塾が力を入れて模試などの対策を行っている一方、進学塾からの受験者は非常に少ないため、その大手塾に通っていない生徒にとっては情報が手に入りにくいのではないでしょうか。
公開されているものではないため、頻出分野などへの具体的な言及は避けますが、
附属中にも科目ごとにかなりはっきりした傾向があります。
各科目に共通しているのが、中学受験特有の難問は皆無という点です。教育大や教育学部の附属校の中には入門レベル程度には中学受験特有の勉強をしていることを前提とした問題を出すところが多いのですが、札幌ではそうした問題は極めて例外的ということになります。
国語は抜き出しや記号問題が中心で記述問題も含むオーソドックスな読解総合問題で、場面や話題をふまえるという基本的な作法が身についているかを直接問うような設問がよく目につきます。特定塾を念頭においたものかはわかりませんが、作法を無視して安直なテクニックで解こうとする不届き者を排除するような意図を感じます。
算数は受験算数特有の特殊算が少なく、むしろ算数の中に出てくる数学的な考え方を試すような問題が多いのが特徴です。また、教科書レベルの問題の考え方を説明させるようなど、ごく基本的なレベルですが公立中高一貫校の適性検査に似た要素を持っています。
社会は短文で説明させるタイプの問題が多く出題されます。内容は記述問題の基本中の基本といったレベルのものが大半ですが、それだけに教科書をきちんと理解してきた子と、理解をともなわない用語暗記だけの学習をしてきた子では大きな差がついていると思われます。
理科にも算数と同じく中高一貫校の適性検査に似た要素があります。また、社会同様に短文の記述問題も見られます。内容はごく基本的なものばかりであり、出題分野のかたよりも特にないので中学受験理科の特定の分野が得意な受験生よりも、苦手分野がない受験生のほうが有利でしょう。
以上の傾向は、実は私たちが採用している大学受験を目標とした小学生のカリキュラムや学習法と非常に相性がよいので、中学受験を考えていない場合でも「附属中に余裕で受かる程度の学力をつける」ことを推奨しています。具体的な学習法は拙著「学習の作法」シリーズでも公開しておりますので興味のある方はぜひご一読ください。