天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

数学検定準2級の傾向と対策

 数学検定は3級を中心に受験者数が結構多い資格試験ですが、その傾向と対策についてはあまり実用的なものがなかなか見当たりません。

 小中学生でも数学検定の3級や準2級はいい目標になるので、傾向と合格のための勉強法をまとめてみました。

 数学検定の準2級は、「高1程度」ということになっていますが、実際には中3の範囲も多く出題され、難易度が高くなりやすいです。また、高1の範囲の中にも因数分解や確率など、中学内容の「発展事項」として扱われ、実際難関高校の入試で頻出する分野があります。

 公式にもおおよその配分して 中3内容40%・高1内容50%・特有問題10%程度と記載されています。特有問題というのは、公立中高一貫校適性試験によく見られるようなその場でルールを読み、それを適用するという問題であることが多いです。ある程度時間をかけることができれば、得点しやすいでしょう

  数学検定は一次試験(計算技能検定)と二次試験(数理技能検定)に分かれます。一次試験は計算練習だけで十分対応可能なのに対し、二次試験では応用的な文章題が中心となります。合格ラインの得点率は一次試験が70%に対し二次試験は60%とやや低くなっていますが、現実的には一次試験はまあなんとかなる、二次試験が勝負だという受験生が多いと思います。

  二次試験の対策をする際は、ひとつ知っておきたいことがあります。それは、高1範囲はほかの範囲と比べ、二次試験でも公式に当てはめるだけのような易しい問題が出題されやすいということです。したがって、合格ラインの60%を確保するためには中3までの範囲をしっかり学習しておき、高1範囲はごく基本的な問題集さえ解けるようにしておけば十分ということになります。大学入試で頻出の場合分けが必要な二次関数の応用問題などは出題されにくいし、されても数は少ないため合否には影響しにくいのです。

 中学範囲の中には高1範囲として出題されやすい分野との兼ね合い上、一部出題されにくい分野もありますが、高1範囲の基本を理解しやすくするためにも一通り学習しておくことをおすすめします。公立高校入試向けの標準的な問題集を一冊やっておくといいでしょう。

 高1範囲の学習には、形式上いくつかコツがあります。数検準2級の一次試験は問題数が15問と3級よりかなり少なく、その中には集合や円周角の定理など計算量が非常に少ない問題も含まれます。また、二次試験は時間が90分と長い割に、「答えのみを記入してください」という問題も意外と多く時間に余裕があるという特徴があります。ひとつひとつ原則から考えて答えにたどり着くというやり方でも十分時間内に解き終えることができるので、公式や解法を細かく覚える必要はありません。関数(方程式・不等式含む)はなるべくグラフを作成して条件を考える、三角比は単位円にsin、cosを書き込んで関係を考える。全ての公式を知らなくても合格だけなら十分可能です。したがって、ひとつひとつグラフや図を書きながら理解する、正攻法の学習で対策するのがおすすめです。

 もうひとつ、実用性を重視するということからの頻出分野があります。「測定技能」と称し余弦定理を用いて実際の長さを答えさせる問題や天気予報など実際に起こることの確率を計算する問題には、過去問などを通して慣れておくと有利です。

 

 ちなみに、1つ上の数学検定2級に合格するためには数学1A(高1範囲)の標準的な例題を一通り学習していなければ厳しいため、必要な学習量が急に増えます。英語など、他の科目の進み具合も考えて挑戦すべきだと思います。