北海道の高校入試で10年ほど前に導入されて以降、議論の的になってきた「裁量問題」ですが、ついに「廃止を」決定したことでまたしても議論になっています。「廃止」は今の中1から。
しかし、発表内容は裁量問題の廃止というより「統合」、つまり裁量問題採用校以外の受験者でも応用問題の入った試験を受けなくてはいけなくなるというものです。また、各科目の配点を従来の60点満点から100点満点に、試験時間を45分から50分にそれぞれ増やすそうです。
裁量問題は、導入当初こそある程度の難易度を保っていたものの、今では易しい問題も多く含まれ、今年に至ってはほぼ形骸化しています。
入試全体のバランスで見ても、共通問題に図表を読み解く(だけの)問題やパズルのような応用問題が多く出題されるようになっており、両者の形式的な差がなくなりつつありました。
さて、これまでの形式変化を前提に、裁量問題を「廃止」したらどのような問題が予想されるでしょうか?
まずは、英・数・国だけにしかなかった裁量問題風の出題が理科・社会でも増えると思います。具体的には、ある程度の文章やグラフなどを書いて答える問題が追加されると予想します。100点満点として、一つの設問に細かく部分点をつけやすくなることもこの方向を示唆しているのではないでしょうか。
数学・国語でも文章や図表で説明する問題が増えて、その分単純な知識問題が減るとすれば、多くの生徒にとっては難化です。しかし、問題のレベルそのものはかなり限られているので、対策が出来ている子にとっては今よりも易しい問題となるでしょう。また、記述などの「応用力を問う問題」の中にも結構な割合で非常に簡単な問題が混じってくるので、上位層以外でもその部分で拾えるかどうかで差がつきそうです。
用語や公式を知っているかだけを問うような、単純な知識問題だけを詰め込む問題ばかり選んで解くという戦術は、どんどん通用しにくくなってきます。
それとは別に、小学校で英語を学習してきた子たちが入試を受けることになるので、英語は大幅に難化する可能性があります。裁量問題廃止と同時ではなく少し遅れてになるかもしれませんが。