天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

過渡期の入試対策

 

北海道の高校入試問題は難易度的にも形式的にも変化の途上にあると言えるでしょう。

 思考力・判断力・表現力重視の流れは明らかです。その場で考えなければならない問題がどんどん増えて、逆に単純な知識問題は減っていくでしょう。しかし、単年度で見たときは必ずしもそうならない科目も出るものです。

 北海道の入試問題の特徴の一つに、理科社会における用語の記述問題の多さがあります。用語の記述問題は単純知識問題の代表格であり、北海道では理科や社会が単純な暗記科目だと考えている人が多いですし、今でもそれを前提とした指導が広く行われています。しかし、東京や、神奈川、愛知ではすでにこの形式の問題が廃止されているように、全国的に見てもどんどん減っている形式です。今年までは比較的多く見られた千葉県も今回の入試から廃止する可能性があります。廃止まではいかなくとも多くの府県では出題数がかなり少なくなっています。

 北海道でも2022年には社会の用語記述問題が一気に減り、この年に限っては内容や形式のバランスが取れたスタンダードな出題でした。ところが2023年は2021年以前に近い数まで増えています。2024年はトレンドから見ると減る可能性が高いですが、多く出題されても、逆にいきなり消滅してもあわてないように準備しておくことが大切です。思考力重視の学習をベースに、苦手な分野の用語をピンポイントで補強できると効率がいいでしょう。また、実戦演習の材料としては古い過去問よりは新しい予想問題の方が役に立ちやすいです。

 

 

 北海道の入試問題は、理科社会では形式面から古さも目立つのですが、数学についてはかなり進んだ出題であると思います。答えを出すのが難しいような問題ではなく、過程を説明させる問題を増やしているからです。もちろん東京など他地域でも過程を説明させる問題は見られますが、それは主に上位校向けの問題です。全員が受ける入試であれだけ多くの記述問題を出す、そのぶんあまり難しい問題は出せない。おそらく入試改革の理念に忠実な問題ということになりますので、もしかすると数学の傾向に関しては他の地域をリードしていくかもしれません。