重厚長大型の網羅方参考書はこのところ廃れる傾向にありました。
最近の厚い参考書といえば少ない問題に細かい解説や周辺知識を加えたようなものが主流です。
しかし、その流れの一方で網羅性を競う重厚長大型参考書もパワーアップしています。
今回紹介するのはいずれも学校専用教材である
「フォーカス ゴールド改訂版」と「チャート式 基礎からの数学II+B(通称青チャート)ワイド版」です。
青チャートの時点でも非常に分厚く網羅性の高さがウリにされていたところ
「青チャートをもとに編集し,よりワイドな(広範囲のタイプ・レベルの)問題も例題で扱うようにしました」
というのですから網羅性で競争しようとしているのは明らかです。
例題の一覧をつけるなど「ニューアクション」を意識したようなところもあります。
ところが、その青チャートワイド版すら遥かにしのぐ網羅性を誇るのが
「フォーカスゴールド」です。
フォーカスゴールドの2Bは本体だけで800ページもあり、「ワイド版」の560ページどころではありません。
ただし、薄い紙を使用することで重量は抑えているようです。
「フォーカスゴールド」は改訂前の時点でも
「青チャート」と「1対1対応の演習」を合わせたくらいの問題を収録していましたが
今回の改訂でさらに「新演習」クラスの難問も収録したようです。
もっとも、そこは文系にはほとんど関係ないでしょう。
本当に優れているのはチャートでは抜けることの多い「やや難しいが重要な問題」を収録し
しかも重要だと示しているところです。
問題数は多いのですが。重要なものだけを選んで覚えることができるよう工夫されています。
「チャート」では問題の選定が教師の技量に依存していますが、そこを改良したということでしょう。
「フォーカスゴールド」はどうしてもその網羅性の方が注目されてしまいがちですが
本当に注目すべきは解答のていねいさです。
「フォーカスアップ」同様に一題ごとの問題に対する解答が詳しく、つまずきにくくなっているのです。
一方の「青チャートワイド版」は相変わらず解答は簡潔、そのほかの解説は比較的詳しいのが特徴でしょう。
文系には蛇足な難問まで収録しているとはいえ
それぞれの解答が減点されないレベルのていねいさであること
そして重要な問題を選べるようになっていることから
ほとんどの生徒にとって「フォーカスゴールド」は「青チャートワイド版」より使いやすいでしょう。
あえて知名度の劣る「フォーカスゴールド」を採用した先生ならそれだけである程度は信用できるということが言えるかもしれません。