天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

増補改訂版 参考書ファイルを斬る

書房で紹介しない話題書のレビューコーナー。
書房に入れないのは入れないだけの理由があるので
ぶっちゃけツンツンモードの辛口批評でございます。
特に今回は書房と思い切り競合する商売敵である
和田秀樹「受験勉強入門シリーズ」の目玉とも言える参考書ファイルが相手です。
私のGLS書房と同じくどちらかといえばプロ向けの本でもあります。
斬る段に入ると冷静さを保てる自信がないので、まずは長所から指摘しておきましょう。

それぞれの参考書について、必ず問題数を示してあるのが便利です。
また、英語と数学については難易度もわかりやすい図で示してあります。
データ的にも新しく、書房で推しているような新刊もかなり収録されています。
たとえば完全マスターくもん英文法、望月の古文超基礎がため、キクタンリーディング、
物理良問の風、明快解法講座、生物基礎徹底問題集、実験考察入門、英会話問題の徹底演習
地理合格講義、40エリア、現代文課題文集、文系数学の核
特にZ会の参考書は過剰なほど優遇しており、7&Yの仕様がネックの書房に対して
くやしいのうくやしいのうww」と言わんばかりのデキです。
さらに全部で25あるワンポイント講義の記述も相当鋭い。
十分買う価値ありそうではないですか。

しかし。しかしである。いくらデータを新しくしても所詮旧課程からの改訂版。
同シリーズに「センター試験突破マニュアル」があるたあに
この本自体はセンター対策が非常に弱くなっているのです!
本の目玉となるはずだった「マスタープラン」はそのせいもあってショボい。
まず英語。くもんの「完全マスター」を組み込んだプラン1および
duoセレクトに速塾を重ねたプラン4以外は穴だらけだ。
数学も無理やり「チャート式」シリーズを組み込むためにギャップができたり
無駄が多くなったりしている。分野のメリハリもつけられない。
古文は「超基礎がため」の起用でかなり引き締まっているものの、
依然として単語をうまく組み込めていないので壁にぶち当たったり
勘違いしたまま進んだりしそうだ。
漢文そのものは悪くないが、現代文が相変わらずの有様なので
ダメな者はダメなままだろう。
理科はピンポイントの粗を指摘しなければよくできていると思う。
社会は一見よくできているようで、全くダメだ。
地歴の無難そうなプラン、ゆとりに対応できてませんよ。
きわめつけが公民。一言も言及されてない。一言もですよ。
公民のこの字もないの。
これはもうアレだね。政経選択の志望者は緑鐵よりも道塾のほうがいい。
そう言ってるに違いない。