天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

東大入試の動向

東大の合格者数ランキングが各週刊誌などで報道されています。
全体の傾向として開成をはじめとする首都圏私立が苦戦し
地方公立が健闘したといわれていますが、
もう少し細かく分析すると今年の入試難易度がよりはっきり見えてきます。
今年の東大入試は英語が大幅に易化して差がつきにくくなりました。
文系では例年採点が非常に厳しい国語と甘い社会では差がつきにくいため、
さらに英語も差がつかなかった今年は数学で大きく差がついたと考えられます。
開成が典型的ですが、東京の私立には英語重視の学校が多いため
今年の傾向とは相性がよくなかったと言えるでしょう。

一方で、去年と比べて特に文1で合格者を伸ばしているのが
九州のラ・サールと久留米大附設です。
両校は数学重視のスタイルが顕著であり、東京の私立校とは対照的に
今年の入試問題には非常に相性がよかったと考えられます。

開成同様合格者を減らしたと報道されている灘に関しては
京大医学部へのシフトが大きいので凋落とはいえません。
また、東大から京大に人気が移ったとも言えないでしょう。
関西で二番手の東大寺学園は逆に京大から東大にシフトするなど
東大人気はむしろ高くなっていると感じます。
マスコミは「名門校の凋落、地方公立校の躍進」と単純な報道が目立ちます。
確かに開成のシェア低下は象徴的ですが、合格率において
開成を上回っている灘・筑駒に関してはそうではありませんし。
前述の東大寺学園ラ・サールにしても業界では
国公立医学部なども含めると開成と同等以上とされることもある名門校です。
むしろ、東京勢に対する神奈川勢、埼玉勢の巻き返しの方が面白そうですね。