天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

「苦手」の原因と対策

「数学が苦手です。どうしたらいいでしょう?」といった
「○○が苦手」という相談も知恵袋などで多く見られます。
このパターンでは「苦手」とされる科目や分野の学習量が
他の科目や分野のそれと比べて少ないケースが大半です。
英語や国語の学習量を100とすれば、数学は30程度。
これでは成績が振るわないのは当然だと思います。
対策としては学習が欠けている分野・段階を補うのが有効で、
短期間のうちに成績があがることも珍しくありません。
しかも、欠けている内容は自称「苦手」な生徒でも
十分実行可能なドリル学習であることが多いのです。

特定の科目・分野の学習量が少なくなるのはなぜでしょうか。
私はたいていの場合、教える側に問題があると考えます。
十分な学習量をこなせるような配分ができていない。
あるいは、そもそもその分野自体に時間が取れていない。
そういった指導力不足が「苦手」を生むと思えるのです。
例えば、歴史の授業で「現代史」まで進められなかった。
また、進めることは出来てもかけた時間は非常に少ない。
これが「現代史」を苦手とする受験生を量産する原因です。
「現代史」では政治制度や国際関係が複雑であるため、
本来なら他の時代以上に時間をかけて学習すべきなのです。

英語や数学だと分野内での配分ミスが目立ちます。
学校では、まず理論(文法ルールや公式の証明)を解説し
次に基本的なドリル(短文の訳や計算練習)を扱い
最後に応用問題に進むというのが一般的です。
私は、この進め方に自体にも問題があると考えています。
まず、最初に理論を解説することが引き起こす問題。
「自称進学校」にありがちなのですが、ここで時間をかけすぎて
ドリルや応用問題に時間をかけられないというケースです。
理論は、ただでさえ難しいのでここでつまづいてしまう。
授業がわからないことばかりになってしまうという問題です。
この段階では、まだ自力でドリルや問題集をこなすのは困難。
その状態で残りのドリルや応用問題を宿題にすれば、
勉強そのものを避ける「英語嫌い」や「数学嫌い」を生むことは
想像に難くありません。
だからといって、ドリル学習をおろそかにすれば
テストが解けませんから、やはり勉強嫌いを生んでしまいます。

一方、地方の有名進学校で多いのがドリルをほとんど扱わずに
応用問題を授業で扱うというケースです。
たとえ、ドリル部分を自習するように指示が出されたとしても
授業についていくため応用問題の「予習」に時間をとられます。
ドリル学習が不十分だと「予習」は時間がかかる割りに進まず
結果として学習量が絶対的に不足してしまうのです。
この点、「超進学校」とされる学校ではドリル学習を重視する
ことが多いようです。例えば開成中学校の計算練習は
質・量ともに充実しており、小テストも実施されます。