天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

東大足切りラインの実際 ドラゴン桜の前作は影響大だったが。。。

注 最後の方にドラゴン桜最終回の重大なネタバレ(入試結果)を含みます。

 

 ドラゴン桜最終回では文科三類だと足切り濃厚のセトについて、出願状況を見ながら足切りを回避できそうな科類を選ぶというシーンがありました。

 現実の足切りラインも文科三類は8割前後のことが多く、共通テストで7割弱というセトの点数ではたびたび7割を切る文科一類や二類のほうが通過の可能性が高いと言えます。

 もっとも、東大、特に文系の足切りラインは一次試験の難易度に加えて社会情勢の影響を受けやすく、実際の推移を見ていくといろいろと面白いことがわかります。

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 例えば2011年の東日本大震災原発事故の後、地方の学生が遠方への受験、特に東京の大学を避ける動きが出ています。2012年はセンター試験が易しかったにもかかわらず、それまで8割を超えることが多かった文科三類の合格ラインが7割そこそこまで下がり、センター試験が難しかった2013年〜2016年の間は一度も8割に達していません。文科一類に至っては最高でも6割に満たないという事実上の「底抜け」状態でした。

 また、2020年はコロナショックに加え浪人して「入試改革初年度の受験生」になることを避けるための安全志向が強くはたらき、理科1類を除く全ての科類で足切りラインが7割切りました2021年も同様の傾向が続いています。

 逆に2006年はセンター試験が易しく、文科一類(79%)を除く全ての科類で足切りラインが8割を超えています。難易度のほかに影響を与えたと見られるのが、実は2005年に放送されたドラゴン桜(前作)です。当時のテレビドラマ版ドラゴン桜には東大受験ブームを起こす力があったということ。結果としてドラゴン桜の真似をしてギリギリで一次を突破しようとした受験生の多くは二次試験に進めないことになってしまいました。

 前作と同じようなブームが起きれば、セトのような共通テスト大失敗からの逆転合格は起こりえなくなってしまいます。東京の新型コロナウイルス感染状況を見ていると、当時のようにはならないようにも思えますが今回はどうなるでしょうか?