天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

文理格差神話について

理系の方が文系より学力が高いと信じている人が多いです。
特に地方に行くとその傾向が強い。
このことは確かに真実の一面を突いています。
地方の国立大学では理系の負担が大きくなるからです。

いわゆる地帝における2次試験の科目について
文系は英語・国語・数学(文学部は地歴)理系は英語・数学・理科2科目
というのが相場です。
英語はたいてい共通問題なので国語・文系数学と理科2科目・理系数学の比較になります。
これだけでも理系の負担が大きそうなのはわかると思います。
さらに格差を決定づけているのが各科目のセンター試験との難易差です。
ある程度以上のランクの国公立では一部を除きセンター試験で5教科7科目を課されます。
これは文系、理系とも変りません。
問題はセンター試験の国語・数学が意外に難しく
場合によっては地帝の2次レベルに迫る、という点です。
つまり、文系だとセンター+αの勉強で済むのに対し
理系では数学沓探擇嗟?吻供滷欧鰺招廚砲海覆気覆てはなりません。
同じ偏差値なら科目数の多いほうが難しいので
私立より国公立が難しいのと同じ理屈で文系より理系の方が難しくなるのです。

しかし、全国レベルの難関大学では全く事情が違ってきます。

まず東大ですが、文系にも社会2科目が課され文系数学・国語ともセンター+αでは済みません。
また、国語や社会では高得点を狙いにくいため、数学を軽視することができません。
一方、理系数学は文系と違い難問が多く、沓辰亡鵑辰申仟蠅任呂覆い海箸發△辰
極端な場合だと沓談そい任盻淑合格点が取れたりします。
もっとも理科は結構難しいですし、国語も必要なので文系より楽とは言い切れません。
単純に合格最低点が低い分、理1・理2の方が文系より入りやすくなっているだけです。
文系上位者が東大に集中するのに対し、理系は全国の難関医学部に分散するためでしょう。
現に超進学校とされるような学校の内部資料によると
東大文系や難関医学部の合格実績はほとんどが成績上位層から出ているのに対し
東大理系になると中位層でもかなり合格しています。

京大でも2次で社会が課されますし、近年は一部の学部に人気が集中する傾向にあるので
少なくとも法学部や総合人間(文系)が理系より楽ということはないでしょう。
一橋と東工大の比較だと、どちらも傾向上一芸型が通りやすく単純な比較はできないものの
東工大はなんと英語がセンター+α程度の難易度なので
一橋を格上とする説には十分な理由があると言うべきでしょう。

私立では慶應医学部が別格なほか、ほぼ完全に文系の方が難しくなります。
私立理系は学費の高さゆえに、競争の母集団が相当限定されるのが大きいでしょう。
入試問題を検討してもほとんどの理系学部の英語は簡単な知識問題が大半を占めており
量的にも質的にも難易度の高い長文中心である文系英語と比べ遥かに楽です。
早慶理工学部はそれなりに長文を出すので早稲田の文系下位学部より
負担が大きいと思われますがスピードはたいして要求されないので
上位学部に比べればどうということはないと思います。
あとは合格最低点の高い東京理科大の薬学部がこのレベルか、というくらいでしょう。
なお、その他の医学部・歯学部・薬学部については闇の部分が大きすぎるので
コメントを控えさせていただきます。

長々と書いてきましたが、結局言いたいのは最難関レベルでは
文系が劣等感を持つ必要は全くないということ
そして東大・京大や慶應でも文系のほうが楽だと思っている不届き者は
早急に考えを改めなければ競争からの脱落を免れないだろうということです。