天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

竹島「問題」の教育における原因

ロシアにとっては軍事的価値が非常に大きい「北方領土」や
誰が見ても経済的価値が莫大な「尖閣諸島」と比べれば
どうみても重要性が低そうな「竹島」がなぜ日本・韓国の双方で大問題のごとく扱われるのか。
これには両国の独特な教育制度や教育界の風潮が関連しているのだろうと考えています、

まず韓国側の事情。
韓国は「先進国」としては異例な「国定教科書制度」を未だに堅持しています。
教科書を国が一元的に決めるのはロシア、北朝鮮、イラン、ミャンマーリビアなど一部の特殊な国家です。
よく誤解されるようですが、中国は日本に類似した「検定制度」を採用しています。
韓国にとっては当然の「国定教科書制度」は日本を含めて世界的には非常識ですが
韓国人にとっては当たり前のものです。
だから日本の教科書の記述イコール「日本政府の方針」のようにとらえ
他国の教科書に激しく干渉するという、これまた世界的には非常識なことを当然のように行い
それが国民の支持につながるというわけです。

一方で、日本側にも世界的に見て特殊な事情が存在します。
「軍隊」に対する異常なまでの拒否感がそれです。
地域にもよるらしいですが、私の世代でも「軍隊=悪」「軍事行動=違法」
というような価値観による教育を受けています。
海外のニュースを継続的に見聞きしていればそれがいかに異常なことかにも気づくのでしょうが
現状として多くの日本の大人は「軍」に対する強い拒否感を持っています。
そのため韓国が「領海」に軍を常駐させる、軍事支配を強化するということによって
不法に占拠しているに違いないという心証を固めていくわけです。

どこの誰とは言いませんが、もし日本と韓国の関係を悪化させたい勢力がいるとすれば
韓国の国定教科書制度を堅持させ、韓国「軍」を日本国民に意識させるのはかなり洗練されたやり方ではないでしょうか、
はっきり言ってしまえば、竹島「問題」は日韓両国の国際的な評価を大きく毀損しています。
結果的に韓国は軍艦を沈められたり国境近くの島を砲撃されたりするし
日本は貴重な資源を取られ続けるというのは私の考えすぎでしょうか。

鈴木宗男事件以来、低迷し続ける北海道東部の経済を意識してか
経済優先、それも日本を含む外資誘致を打ち出して北方領土の支配を強化しつつ
WTO加盟についてアメリカの指示まで取り付けるロシアのしたたかさを
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110310/erp11031009240003-n1.htm
うらやましく思ってしまいます。
明らかな軍事偵察でさえ「放射線測定のため」と言ってはばからない形式的に筋を通す強さ
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110331/erp11033122290007-n1.htm
はさすがと言わざるをえません、