小学生の理科にほんとうに役立つマンガとしてはこちらの
空想科学学園シリーズがおすすめです。低学年でも大丈夫でしょう。
角川まんが科学シリーズ 空想科学学園 すごいぞ!ぼくらの地球編
- 作者: 柳田理科雄
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/06/14
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
「サバイバル」「実験対決」は科学を題材にした小学生に人気のシリーズ漫画です。
ストーリーやコロコロコミック的な描写が面白いからでしょう。
しかし、受験技術研究家の目から見ると、これらのシリーズの学習漫画としてのデキは決してよくありません。一言で言うと欲張りすぎ。
最大の問題点はエンターテイメント部分と学習部分が分離しすぎていることです。絵は面白いのですが、解説役のセリフが長ったらしい上に面白くないので読む気になれない。そもそも説明なしで専門用語を連発しているので読んでも理解しにくい。結果、面白かったけど科学への理解はさっぱり進まないということになりがちです。
解説ページも相当高度な内容を扱っている割に、わかりやすくする工夫に劣ります。やや乱暴な言い方をすれば、高校の教科書にフリガナをふっただけという印象。小学生にこれを読めというのは酷でしょう。
では、高校の教科書にフリガナとコロコロコミックなどをつけたような歪な本がなぜ生まれたのでしょうか?私はサバイバルシリーズを生んだ韓国の受験制度が背景にあると考えています。
韓国の大学受験が熾烈をきわめるものであることは、日本でもよく知られています。では中学受験や高校受験はどうでしょうか?実はないんです、これが。高校受験については、日本で言う難関国私立高校に当たるような受験は存在するものの、ほぼ全員が受ける基本問題中心の公立高校入試は行われません。
サバイバルシリーズや実験対決シリーズがターゲットにしているのが難関高校入試や大学入試であると考えれば、用語を詰め込んだ解説にも納得がいきます。
日本の場合、入試で求められる知識量は概ね一般高校入試<私立中学入試<難関高校入試という順で厳しくなっていきます。したがって、中学受験をターゲットにした「まんが攻略BON」や「ドラえもんの学習シリーズ」などは一般の小学生には難しすぎることが多いのです。ところが、サバイバルシリーズは更に上の難関高校や大学受験をターゲットにしています。
もしサバイバルシリーズを学習目的で使うとしたら、図書館で読んで気に入ったものを購入し5年生くらいから繰り返し読む、その際は親子で一緒に読んで難しい理屈や用語はわかりやすく説明しながら進めるというやり方が想定されます。学習漫画のメリットはかなり限定的ですね。同じ本の、子どもはマンガを大人は解説を読んで楽しむエンターテイメントと割り切るほうが現実的だし意外に役に立つ思います。それでも、かなり値が張るという難点はありますが。