天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

小沢戦術の効果と北海道の情勢

小沢一郎の政治手法については嫌う人が民主党内にも非常に多いようですが
その選挙戦術の巧みさについては誰もが認めるところです。

今回の参議院選挙では、自民党(系)と民主党(系)が一議席ずつとるであろう「二人区」がたくさんあります。
小沢はこれら二人区にあえて二人の候補者を立てました。
このやり方に現職候補からは「共倒れになったらどうしてくれる!」と反発が強いようです。
しかし、二人のどちらかが当選する選挙区というのがほとんどのはず。

すると、二人の候補者としてはどちらも当落線上に近いところにいることになりますので、必死で戦います。
その結果として、それぞれが票を伸ばし比例での得票も伸ばすというのが小沢の狙い。

また、有権者の立場からしても、どうせ創価学会など組織票の支援を受けた自民候補の当選は決まっているのだから
民主党のいずれかの候補」に投票するのが当選者を選ぶ、現実的な唯一の選択肢と見えます。
二人擁立するということ自体が浮動票を取りに行くことになるのです。
大きな敵失があったりすれば、2議席独占するかもしれない。

北海道などまさにそれで、創価学会票と浮動票の両方を取れるYOSAKOIソーラン祭り創始者自民・長谷川が今のところ優勢。
民主党候補では、元キャスターでムネオ票や浮動票を取れる徳永が優勢です。
もう1人の民主党候補、労組が支援する藤川は支持母体の不祥事などが響きこのままだと勝てません。
巻き返しのために必死で
創価学会が支援する候補に当選されたくないという有権者もいるでしょうが、
「労組が支援する候補」を落とすためには徳永に、「元キャスターの女性」を落とすためには藤川に投票するのが現実的な選択肢です。
もちろんそんなのは選挙のための戦術にすぎない茶番だ、と見て
それくらいならと他党の候補者に入れる有権者も出ますが多くはないと思います。
ただ、消費増税に真っ向から反対して多数の候補者を立てた共産党およびみんなの党に注目です。
それぞれ民主党自民党から結構な票を奪う可能性があり、選挙区でも結果を左右するかもしれません。
北海道では長谷川や徳永ほど浮動票を取れそうな候補者がほかにいないので、波乱を起こす可能性があるのはみんなの党・中川でしょう。中川自身が当選する可能性はほとんどないと思いますが、長谷川陣営を切り崩すことで民主をアシストしてしまう可能性がなきにしもあらず。

というわけでまとめると
民主党議席独占を阻止したいなら長谷川へ、
民主党議席を独占させたければ徳永ではなく藤川に投票するのが合理的な判断となります。