天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

東大合格者数ランキングの分析~現役志向の高まり

今年の東大前期合格者ランキングについては
夕刊フジ
「首都圏名門校復活」「地方進学校惨敗」
などと記事にされている通り
首都圏勢の健闘が目立っています。

一方で、特に合格者数を減らした学校として
ラ・サールや東大寺学園などが上がっていますが
これは各高校個別の問題ではなく、地域全体として同一の傾向が見られます。
すなわち、東大合格者数に注目すると
「九州」や「北関東」において合格者数の減少が顕著なのです。

そして、現役・浪人比に注目するともう一つの現象が見えてきます。
これもラ・サールを始めとして九州の進学校に顕著なのですが
地方では「浪人」の東大合格者数が激減しているのです。
報道されている「医学部志向」というよりは、昨年から続く
地方における現役志向の高まりが強く影響していると言えるでしょう。
首都圏においては麻布や県立・浦和をはじめとする公立校だと相変わらず東大合格者における浪人率は高いのですが
これがラ・サールや久留米大附設、愛光といった地方の名門校では激減しています。
東大理三や京大医学部など現役生が圧倒的な強さを見せた灘にしても浪人率は明確に下がっています。

地方経済の疲弊、地方の青少年が希望を持てなくなっている、という意味での地域格差
を感じてしまうというのはいいすぎでしょうか?
東京に生まれたらリスクを取れるが、九州に生まれると現役で適当な大学に入らざるを得ない
という状況にはある種の歪みを感じてしまいます。