天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

東大易化、他の難関国立大が少しずつ難化したか

 

 主要大学の合格発表が進み、東大・京大や国公立医学部の高校別合格者ランキングが話題になっています。今年は新型コロナや共通テストの難化による受験生の動向変化に注目すべき点があるように思います。

 センター試験の時代でも、センターが難化すると受験校のランクを下げる受験生が続出する結果、意外と強気で出願した受験生が好結果を残すということが言われていました。今年は東大の合格点が大きく下がったことから、単純に共通テストや東大二次試験の難化だけではなく、受験生の動向も影響したことが考えられます。

 それを示唆するデータの1つが、もともと東大志向の強いいくつかの有名進学校で、昨年と比べ京大合格者がかなり増えたこと。もっとも目立つのは灘でしょう。灘の現役生の動向を見ると東大が−13に対し、京大がプラス15。京大は医学部や理学部だけでなく、文系もかなり増えているのが印象的です。 

 都立日比谷も好調な東大現役合格者数が注目されますが、京大の現役合格者が昨年の5人から今年は10人へと倍増しました。東大合格者数を大きく減らした県立・浦和も京大は5人→10人と倍増。

 また、北海道の最優秀層が集まる北嶺は国公立医学部合格者数が過去最多を更新と宣伝していますが、これも安全志向が影響したのではないでしょうか。内訳を見ると、昨年は東大理三3名のほか東京医科歯科大や千葉大にも現役合格者を出していましたが、今年は首都圏への現役合格者は理三1名のみ。そのぶん北大と旭川医大の合格者が増えています。今までなら理三や医科歯科大に挑戦していた最上位層が北大などに流れたものと思われます。もちろん、そのぶん合格率は上がったことでしょう。同様に、例年なら北大医学部を受験していた層がある程度旭川医大に流れた。

 全ての学校でというわけではないのですが、全国的にこういった受験生の動向によって東大は合格難易度が下がり、他の難関大では難易度が上がるケースも出るという現象が起きたと考えられます。