天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

北海道の注目選挙区 ①北海道11区

海外での泥酔会見により中川(酒)として一躍有名になった大物議員中川昭一56歳の選挙区です。
中川昭一真正保守として知られる伊吹派の幹部であり、保守派からの根強い支持を得ています。
世襲議員ですが麻布中高→東大法学部政治学科という学歴エリートでもあります。

余談ですが私は基本的にどの候補にも肩入れしない方針にもかかわらず、東大法学部のなかでも政治学科というのは学年に数人~数十人程度のレアな存在なので、個人的に学科の先輩に当たる中川にはある程度親近感を持っています。

民主党小沢グループ石川知裕36歳。地味に小沢の秘書としての疑惑を持ちます。
小沢のイメージに加え、同じ足寄町出身の鈴木宗雄との協調を公言していることから革新的なイメージは弱いと言って良いでしょう。学歴は足寄町の中学校から函館ラ・サール→早稲田商とそこそこのイメージですが、さすがに中川と比べれば見劣りします。

知名度や実績など個人としてのプラス要因では圧倒的に中川が有利でしょう。
年齢は石川有利ですが、中川もそれで批判されるほどの高齢ではありません。
しかし、知名度にともなってマイナス要因も圧倒的に中川です。
あの泥酔会見はテレビでもネットでも繰り返し再生され、ほとんどの有権者の目に入っています。
一方の石川は知名度が低いだけに秘書時代の疑惑もあまり知られていません。
結果的に情勢はかなり微妙なところだと思います。

組織票の動きを見てみましょう。

ムネオ票が石川に流れるのは間違いないでしょう。
前回は中川約107千票に対して石川85千票ほど。小泉旋風の中、意外と石川が善戦しています。また、このほか共産党候補が16千票を獲得しています。この共産票が石川に流れると決定的なのですが…
しかし、この11区では共産党は独自候補を立てています。
石川は革新のイメージが強くないので、革新派の票はある程度共産候補が持っていくでしょう。
もちろん共産党支持者の票も問題なく共産候補がとれるはずです。
このあたりの事情は共産党が候補者擁立を断念した他の選挙区と異なります。
なお、真正保守の大物議員がいる選挙区なので、保守層への浸透をはかる幸福実現党の候補にはほぼ出る幕なしと思いますが、大接戦になれば地味に中川を苦しめるかもしれません。
泥酔の中川、元小沢秘書にしてムネオとがっちり組んだ石川、ともにアンチ票は相当出ると思います。さらにこのまま山岡達丸が公認され場合、ここで中川が勝てば山岡を落とせると考え中川に入れるアンチ票も出るかもしれません。結局のところ自民(+公明)、民主(+大地)双方ともにどれだけ身内を引き締められるかが勝負を分けそうな気がします。