天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

難関向け模試への誤解について

近年、大学受験の傾向が変わって文系でいえば
東大・一橋大などを除くほとんどの入試問題が大幅に易しくなっています。
これに伴い、やや遅れてではありますが模試の性格も変わったものがあります。

まず、駿台全国模試が前世紀に誇った圧倒的権威を失っています。
特に秋に行われる模試は避けて、マーク模試や大学別模試に集中するのが
多くの進学校に共通して見られる動きとなっています。
問題も数学や社会につづき、国語や英語も以前のように
「東大や京大の問題より難しい」と言われた難易度が是正されてきているようです。

もうひとつは東大プレの名誉挽回です。
この模試も昔は問題、特に英語や数学が難しすぎて
オープンや実戦と比べて頼りないとされていました。
しかし、現在ではこの評価は逆転し
むしろオープンの方が英語や数学で無茶な出題が多く
例年プレが最も本番の難易度に近いと言われています。
成績上位者からは数学が易しすぎる、という批判もありますが
実際にプレで8割以上の高得点を取っている人は
本番でも高得点をとっているケースが多く、
むしろオープンや実戦しか受けていない人の方が
開示結果の点数の高さに驚いている状況です。

厄介なのはこういった状況を全く把握しようともせず
前世紀の知識だけで模試を決定する学校が、地方には今だ多いこと。
一般向けでも今では河合や駿台のものより評価が数段落ちる
代ゼミの全国記述や全国マークを受けさせてみたり、
駿台全国模試をむやみやたらに勧めていたりというケースが
直接生徒から聞いただけでも枚挙に暇がありません。
ひどいものでは東大プレの当日に進研模試を強制されたという生徒もいました。

模試を勧めたり、あるいは貶したりする教師や親というのは
一見教育熱心で生徒にとって望ましいもののように思えますが
受験校に関することや参考書・問題集の選び方に関することと同様に
最近の事情について正しい知識を持った上での口出しでなければ
迷惑以外の何者でもありません。
そういう教師や親が何か言うたびに生徒の合格可能性が1%ずつ
下がっていくものと考えてもいいでしょう。
もちろんこのブログや参考書レビューサイトなどで
しっかりとした知識を身につけたうえでの口出しであれば
大いに歓迎されると思いますが、それらの中には
情報が古かったり不正確だったりするばかりではなく
故意に間違った情報を流して自分たちが儲けようという輩も潜んでいますので
十分に気をつけてください。