駿台文庫「生きるセンター漢字・語い力」
に不適切な例文が多数あるとかで炎上し、回収騒ぎになっているそうです。
で、確かに「問題」の例文だけを抽出したレビューによると
時代遅れだったり下品だったりして不快に感じる人が出そうな文がある。
国語の参考書では昔から「マドンナ」に「ゴロゴ」という
同書よりもっと下品なものがベストセラーになっていることもあり、
感覚が麻痺していたということなのでしょうか?
少し前まで、駿台文庫というといかにも硬派で(そしてわかりにくい)参考書のイメージがありました。
解答例が立派すぎて実用性に欠ける問題集に悩まされた方もいるかもしれません。
ただ、近年は問題になった本と同じシリーズの「生きる漢字・語い力」のように
わかりやすさや使い勝手に優れた本が増えてきています。
往年の代ゼミなどとは真逆の硬派なイメージで選び、その期待を裏切られたというのも
炎上の背景の一つと言えそうです。
もしかすると、批判が殺到することも見越した確信犯かもしれません。
たしかに同書はAmazonランキングでトップテン入りを果たすなど、
今回の騒動のおかげで相当売れ行きが良くなっているようですが
決していわゆる炎上商法を狙っていたと言う意味ではありません。
著者の霜栄先生は「生きる」以前の参考書では駿台の例に漏れず硬派な問題集のイメージでしたが
授業を受けた生徒によると、非常にわかりやすい具体例で難解な文章を解説してくれるそうです。
外野からいくら難癖をつけられようと、わかりやすい解説をすることは予備校講師の使命とも言えます。
さらにうがった見方をすれば、昨今の言葉狩りとも取れる表現規制の流れに対する義憤が
「過激」な例文を掲載する動機になっていたのかも。
「現代文」とは言っても、その試験では21世紀の文章ばかりが出題されるわけではなく、
時代背景も知らないと理解しにくいような問題がたびたび受験生を苦しめます。
したがって時代遅れな考え方を背景にした例文の排除は、受験指導の観点からすれば好ましいとは言えない。
下品な表現、ともなると「マドンナ」「ゴロゴ」を持ち出すまでもなく
落窪物語のような古典も、表現から間違いなくアウトでしょう。
さらに現代の倫理観にそぐわないから、というのでは源氏物語も扱えなくなってしまう。
そう考えていくと、「不適切」な例文の排除は受験指導に限らず、
国語の学習そのものを不可能にしてしまうことにつながります。
Yahoo!の検閲で消されしまいそうなのでリンクを張ることはできませんが、
Amazonのレビューなんかを見ていると、こうした懸念もご理解いただけることと思うのです。