天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

英語で背景知識の穴が生じるパターン

難関大学の英語で出題される文章のテーマには大きく2種類あります。
ひとつは言語論や文化論といった伝統的なテーマ。
もうひとつはニュースや雑誌記事など時事英文の現代的なテーマ。
難関大学は一読して誰でもすべて理解できるような簡単な英文をあまり出してくれません。
したがって、文章内容を理解し、内容把握問題で正答を出すために背景知識が重要です。
一般的に難関大学ほど内容把握のような応用問題の比率が上がりますから
背景知識があるかどうかで難易度が大きく変わってくるのです。
伝統的テーマと時事英文では使われる語彙や表現にも違いがありますから
学習がどちらかに偏っている場合、もう一方のタイプの文章には
めっぽう弱くなってしまう可能性があります。 

○危ないパターンその1
2ちゃんねるなどで人気のある駿台文庫の参考書(特に故伊藤和夫氏の著書)
Z会出版の問題集、旺文社の精講シリーズを一貫して独学で上級レベルまでこなしてきた。

このパターンでは時事的な背景知識や口語表現があまり身につかないため
別途専用の参考書・問題集で補うのがよいでしょう。
Z会出版の「速読速聴」シリーズは時事英文への高い即応度を誇ります。

○危ないパターンその2
学校のカリキュラムに沿って、休みのたびに渡される薄いサイドリーダーを
多く読んできた。高3になってからの授業はもっぱらセンター演習。

このパターンでは抽象的な話題の英文をあまり読まないことになります。
現代文や社会の学習でかなりカバーできる可能性もありますが、
現代文が苦手などの事情であまり期待できないようなら
背景知識をつけるための英文集を買ってきて訳だけ読み込むのも手でしょう。
国公立志望なら、やや難しめの和訳問題集をこなすのが有効です。

大まかな傾向では近年時事的な英文が多くなっており、
私大の経済系学部が顕著なほか東大も時事英文重視です。
早稲田の社会科学部のように全問が現代的テーマの英文というところもあります。
しかし、東大を含め伝統的なテーマの英文も多少は出題するところが多く、
そういった英文で決定的な差をつけられないようにする対策も必要です。