幸運にも、技術そのものについては著書をはじめとするメディアで発表できるようになってきました。
一方、立場上また体力上、以前のように大量の情報をブログに載せるのは難しくなっています。
また、そういった情報はいずれGLS予備校のサイトなどで(私でない誰かが)公開する構想もあります。
代わりといってはなんですが、いつまでもブログを放置しておくわけにもいかないので
こちらでは今後、著書ではあえてほとんど書いていない理論や理念について書いていこうと思います。
教育を社会学的に分析する世界では
深刻な学力・経済格差の世襲を「学習資本」の格差という言葉で説明するようになってきています。
カネがカネを稼ぐのと同様、学習能力が学習能力をさらに高めていく。
「学習能力」では抽象的すぎるので、私はこれを
「やる気」「規範意識」「時間」「体力」そして「現状の学力」などの
要素に分けて考えています。
そして、学力を伸ばすためには必ずしもそれらのすべてに優れている必要はありません。
「やる気」や「学力」が低くても、あるいは「時間」が少なくても学力をつけられるようにする。
それが私の考える受験技術の役割です。
少ない学習資本でも高い効果を出し、資本を増やすことができる。
ここでもあえて経済の言葉を使うと「学習生産性」を高めるということです。
例えば、部活や趣味で忙しくて時間がなくても、十分現役合格できるようにする。
苦手な分野でも、少ない労力で理解できるようにする。
やる気がなくても勉強できるような環境を作る。
私自身、主に体力的な問題で長時間の勉強は難しかったことが受験技術を研究するきっかけになっています。
そして、大きな学習資本を持っているからといってそれを無駄に使う必要はないと考えています。
点数を取ること自体に喜びを見出せるならそれはそれでかまいませんが
時間も体力も学力もあるからといって、効率の悪い勉強を続ける必要はありません。
やる気がない生徒にやる気を出させるとか、
時間がない生徒に(たとえば部活をやめさせて)時間を増やさせるようなやり方はわかりやすいですが
労力に見合う成果を得られる可能性は高くない。
まずは今もっている「学習資本」をいかに有効に使うかを考えるべき。
有効に使えるような状態で資本を増やしてやれば、効果はばつぐんのはずだからです。
逆に有効な使い方を知らないのに資本だけを増やしてもただそれを浪費するだけになりかねません。
資本を増やすことではなく有効に活用することに比重をおいているので
私個人としては「偏差値○○からの大逆転合格」のような売り方に消極的です。
学習技術を正しく用いれば理論上はそれも可能ではあります。
しかし、実際には活用法を知らないまま資本作ってはを投下し続け損失を出し続けるケースが圧倒的に多いのです。現実的な目標を一つずつクリアしていくいほうが、よほどうまく資本を増やせます。
こういうと、学習資本が高い人たち、進学校の優等生のほうばかり向いているじゃないかと
言いがかりをつけられたりもするのですが、あえてそれは否定しません。
努力によって学力を伸ばした人が身近にいることは、それ自体が学習資本を大きく高める効果を持つからです。
その効果はあまり学習資本を持っていない層に直接資本を与えようとするよりも高いというのが私の実感です。
話はとうとつに変わるのですが
少ない資本で高い効果を出そうという発想は、さまざまな面で効果を発揮します。
年収100万円でも何十万円貯金できるとか、そういう本が多いですが
受験技術研究家として言わせてもらえればまだまだ無駄が多かったり我慢しすぎていたりします。
単純に趣味でもありますが、受験技術の考え方を応用することのわかりやすいご利益として
これから書いていきたいと思います。