天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

独断。独学参考書ランキング古文単語編

 
 ランク付けというからには、多くの学習者に共通する分野でなければなりません。そうしないと、参考書の優劣は現時点の学力や到達目標に依存して大きく変わってしまうからです。古文単語の場合はもっともよく使われる「例文形式の基本単語帳」のランキングになります。単語だけを覚える形式のもの(マドンナな)や、文脈形式のもの(Z会)は除外しています。学習効率を重視し、必修単語の定着させやすさや単語学習を通してどれだけ古文の総合力を伸ばせるかを基準としています。

 1位 コブタン 56の例文で身につく古文単語333
 2位 土屋の古文単語222
 3位 古文単語ゴロ565(の見出し語168個)
 次点 吉野式爆走古文単語

 1位のコブタンは例文の少なさがずば抜けています。助詞や助動詞もカウントしているため、実際の単語数はもう少し少ないと思っていいでしょう。重要文法事項も「単語」として解説されているほか、例文解説コラムでかなりの古文常識を網羅しているため、知識習得による読解への波及効果は非常に高いものが期待できます。

 2位の「土屋」はかなり古い本ですが、例文に簡潔な文法事項の解説がついているので、独学者の使い勝手の面では今もトップクラスです。単語1つ1つについての解説が詳しいので、正統派の本が欲しい人はこれを選ぶと良いでしょう。値段も比較的安いです。

 3位の「ゴロゴ」なんですが、例文型単語帳として見た場合、ゴロはおまけのようなものです。例文の文法解説は最も詳しく(例文の全箇所を解説しているわけではなく、特定箇所の解説が詳しい)、他書と比べて苦手な人向けのつくりと言えるでしょう。巻末に古文常識が収録されているものの、暗記には使いにくくこれもオマケ程度。

 次点の「吉野式」は例文に直接、重要品詞分解がついています。それがいいという人には使い勝手の面で勧められます。もっとも、ゴロゴを意識してか見だし単語はかなり多く、巻末の構成もゴロゴに似ており、古文単語はゴロでなく気合で覚えるんだ!という、メッセージが伝わってきます。

 ここで紹介した以外の本は、基本的に例文の解説がありませんので、最低でも「訳を見れば完璧に品詞分解ができる」程度の学力がフル活用の前提になります。学校で既に渡されている場合など「今はまだ完全には使いこなせない」と割り切って使うのも手ですが、ある程度学力がついたらもう一度学習しなおす甲斐性が求められると思います。