昨年の北大合格者数から、札幌圏でも公立高校と私立高校の競争が盛んになって道内勢が巻き返すことを期待していたのですが、残念ながらすぐにそうはならなかったようです。今年も首都圏など道外からの受験生にシェアを奪われています。
道内公立高校からの合格者数が減った分を私立高校がカバーできればいいのですが、現実としてそうなってはいないのです。
私立上位校の問題点として、従来は生徒の学力の幅が広すぎて適切な指導がしにくいということが挙げられていたように思います。その対策として学力上位層を集めるコースが各校に設置されているのですが、どうもそれが十分に機能していないように見受けられます。
札幌光星高校のステラコースは定員を満たすことができていません。札幌第一高校でも、長すぎる拘束時間を嫌ってあえて選抜コースは選ばない生徒が相当数存在するようです。結果的に、大きすぎるクラス内学力格差という問題は解決できないままなのです。立命館慶祥の高入SPクラスは主に内申点を基準にした推薦入学者が多くを占めたとか。どうにもやろうとしてることと実際にやっていることのチグハグ感が否めません。
公立トップの札幌南高校が伝統的に自由放任型の進学校だということもあり、道内では拘束時間の長さが学力上位層に嫌われるのは自然だと思います。学力上位層を集めたクラスを作りたいなら、授業時間の多さで勝負しようとするのはやめたほうがいいのではないでしょうか。むしろ、土曜の授業や放課後の講習は一切やらないことを売りにした学力上位層向けクラスを設置すればかなりの受験生(特に南や西の志望者)を集められそうな気がします。
立命館慶祥に関してはあくまで大学附属校である以上、大学側からのノルマなど制限があるのでしょうが、個性入試で模試の偏差値や各種検定のスコアをクリアした生徒を学力試験を目指すコースに、高い内申点基準をクリアした生徒は推薦・総合型入試を目指すコースにと振り分ける方が進学実績にはつながるように思います。立命館大学への内部進学資格を持ったまま他大を受験できる制度は、本来なら北大志望者にとってかなり役立つはずです。立命館大学は北大の主要併願先の1つだからです。しかし、現状では北大受験生自体がかなり少ないようです。大きなメリットになるはずの制度がデメリットとして機能しているようにも見えます。なお、東大や医学部の志望者にとってこの制度はまったく魅力がありません。立命館大学が東大や医学部の併願先となることはまずないからです。
また、札幌光星と立命館慶祥(SP)は中学からの内進生と高校から入学した生徒を完全に別のクラス・カリキュラムで区別しているようですが、結果として3年間基本的にクラス替えのないコースというのが出てくるので、この部分に関してももう少し工夫の余地があるような気がします。