天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

コロナ以外にも考えられる不登校激増の要因

 

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 昨今、不登校YouTuberの炎上がよく話題にされますが、日本全国で見て昨年度の不登校が前年比で25%近く増えたそうです。コロナ禍が原因として挙げられていますが、特に中学校での急増に関してはほかにも大きな原因があるのではないかと思うところがあります。それは学習指導要領の改訂にともなう、英語の急な難化です。

 英語というと、中学1年生ではアルファベットの読み書きが最初の中間テストの範囲になるため、平均点が非常に高くなるのが普通でした。ところが、昨年度からは教科書がいきなり難しくなって、最初の中間テストでもかなりの数の単語や文法事項が問われるようになりました。「勉強には自信がなかったが英語だけはいい点が取れたので自信がついた」という経験ができなくなったわけです。

 (昨年度の)2年生、3年生はさらに厳しい状況でした。突然教科書の難易度が上がり、文章が長く複雑になったり「知っていて当然」とされる単語が激増したりしたのです。難易度の上がり幅ですが、大雑把に言えば今までより1学年上くらいのレベルになっています。中1レベルの勉強しかしていなかったのにいきなり中3レベルの、中2レベルの勉強しかしていなかったのにいきなり高1レベルの教科書を使うことになったということです。以前は中1で英検5級、中2で英検4級に合格していればまあ英語はできる方だったかと思いますが、その程度の英語力で今の教科書についていくの非常に困難であると思います。中1で4級、中2で3級でもまだ厳しいくらいです。

 さて、これが不登校にどうつながるかですが、もともと中学生では「学業不振」が直接不登校の原因となっているケースがそこそこありました。さらに最大の要因とされる「無気力」も「学業不振」によって誘発されることが多いと考えられます。今まで唯一得意だと思っていた英語で突然ついていけなくなった。あるいは、今まで勉強はできる方だと思っていたのに突然ついていけなくなる科目が出てきた。これらは十分不登校の要因になりえるたのではないでしょうか?

 不登校の要因は複合的で、何か一つの出来事だけに原因を求めることはできませんが、英語の急激な難化が全国の中学生に与えたインパクトは無視できない要因であろうと考えます。