天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

東京大学(1日目)・総論

【科目バランス】センターはスタンダード900点を110に換算。二次は440点満点で国語120英語120数学80地歴60×2。科目数の多さ、1:4と2次重視の姿勢に加え意外と社会の配点が大きいのも特徴。どの科目も水準以上の難易度。かといって近年は極端に難しい科目もなく、合格最低点がそこそこ高くなっているため、特に文1では特定の科目を捨てるような戦略が取りにくい。したがって、要求される学習量は断トツ。2004年度に最低点が高騰し2005年度には急落しているが、これは現代文の難易度によるところが多いいと思われる。英語や社会でも高度な国語力が要求される以上、受験生全体として現代文の力が高いのは当然。全体が上がったり下がったりするだけのことなのであまり最低点の上下を気にする必要はない。地歴は年度によって科目組み合わせ間の有利・不利が見られる。各科目とも東大専用の参考書が充実しており、わりと対策は立てやすいので学習量で差がつく。

【模試】東大型はできるだけ多く受けておきたい。私立との併願者は全統記述模試、他の国公立も考えているなら各種のマーク模試を追加。

【国語】
 バランス 現代文は2004年度(易)以降難易度が一定しない。しかし十年以上前と比べると易化傾向なのは明らかで2005年度(難)のような問題を期待して捨てにかかってはふるい落とされる可能性が高い。古・漢文はやや難程度の絶妙なバランスで安定。易しく見えて実は難しいというパターンも多く、特に古文では差がつきやすくなっているようだ。

現代文…漢字マスター1800+ 船口の現代文<読>と<解>のストラテジー
    年度によっては得点奪取現代文で十分なこともある
 5問ある漢字は書き取りが難しいものは出されないが、語彙的にそこそこのものが狙われている。あとは全て論述式で、120字指定の一問を除き解答欄の行数で大まかな字数を示してくる。そこそこ読み応えのある本文が読解できれば解答可能という設問が中心だが、該当部分の字義的な解釈が必要な問題や字数制限がきつい問題も混じることがある。第四問が点の取りにくい随筆とは限らないことに注意。

古文…古文解釈の完成

 主に本格的な物語が出題される。古い問題のように全文が非常に難しいということはなくなっているが、本文が読みやすいときでも傍線部や説明すべき該当部分の解釈はわりと難しいことが多い。現代語訳と説明問題でたいていは全て論述形式。リード文で与えられた場面を意識し、さらにどう展開していくのか予想できないとなかなか点数にならないので、単語・文法事項を踏まえて訳す力だけではなく、和歌による心情表現のパターンなど古文常識の知識も重要である。
 
漢文…最強の漢文

 内容説明が中心であるが年度によっては抜き出し問題があったり、傍線部解釈が多かったりする。文章自体センターのように読みやすくはないし、単純な句法や重要単語の知識だけでは得点に結びつきにくい。安定して点数を取るには古文常識に当たる漢文特有の論理展開や誇張表現に慣れておくことや、文脈に即して漢字の知識を引っ張ってくる練習が必要になる。本文中のヒントが少ないという観点からすると、得点を安定させるのは現代文や古文より難しいかもしれない。
 参考書について詳細はこちらhttp://myshop.7andy.jp/myshop/glssyobo

【数学】…文系数学の良問プラチカ センター試験必勝トレーニング 
     分野によっては ハイレベル文系理系数学

 超難問は姿を消して久しいが、計算量を要求するのは相変わらずで確実に差はつきやすくなっている。理系と違って明確な捨て問はないので文1は4題全て、文2文3でも3題には手をつけたい。力押しの計算でも解けるが図形的性質を利用すれば楽な図形問題・問題文が長く具体的な状況分析が必要な確率の問題・ていねいな場合分けが必要な微積の問題・整数や方程式の解の性質を使う論証問題という組み合わせが典型。これらのうちいくつか得意分野があれば50点程度の得点は難しくないだろう。 2006年度はこの組み合わせそのもので、かつ計算量が多かったのでかなり差がついたと思われる。あとは見掛け倒しの問題や単純に見えて実は完答が難しい問題も多いのが特徴だが、最近は簡単に見えて実際易しい問題も多いので時間配分のテクニックも重要な要素であろう。
 参考書の詳細はhttp://myshop.7andy.jp/md_fair/daigakujyuken02/glssyobo?shelf_id=05