天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

「東京の女子」が高校受験で不利とは?

 このところ都立高校の男女別定員に関する議論が盛り上がっているようですが、

そもそも東京の女子は高校受験でそんなに不利なのでしょうか?

 たしかに、一部の都立高校を受験しようとする東京の女子は同じ高校を受験しようとする東京の男子と比べれば不利です。また、公立トップ校の受験に際して、学力レベルにあった私立進学校を併願したい場合にも女子は不利です。都内の私立進学校を併願できる東京の女子、あるいは私立の難関校に高校募集が残っている千葉や「滑り止めの星」が存在する埼玉の女子と比べて不利と言えると思います。

 しかし、それ以外の地域の生徒と比べてどうでしょうか?そもそも、東京の女子は高校の選択肢がとても多く、かなりきめこまかく学力に合わせた学校を選んだり、好みの校風の学校を選んだりすることができます。「私立の進学校」こそ都内では受験できなくなりますが、国立の進学校は受験できますし、大学附属校なら私立もたくさんあります。地域によりますが、他県の私立進学校に通うこともできるでしょう。

 東京以外の地域はどうか。上位の進学校に絞ってみれば埼玉では県立浦和高校をはじめとして公立の地域トップ校は男子校です。群馬や栃木も同様で、女子は地域トップ校を受験できません。

 そもそも、たとえば北海道(札幌を除く)のように、都内の上位進学校に匹敵するレベルの進学校がない地域もたくさんあるのです。その場合、東大や医学部を目指す生徒が集まる学校に行きたければ他地域の寮や下宿がある学校を目指すことになるでしょうが、ここで「女子の選択肢が少なく不利」ということが起こります。つまり、上位進学校の高校受験に関してであれば「東京の女子は不利」なのではなく単に「女子は不利」と言っていいのではないでしょうか。

 

 逆に札幌だと中学受験で男子校の進学校があるのに対し、て共学・女子校の進学校がないことで歪みが生じていますが、それはまた別の話。