天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

地理や政経で難関大学を受験するなら就活向け時事対策が有効

地理や政経で難関私大や二次試験を受けようとすると

問題集が古い物しかないことに気がつきます。

政経はまだ標準問題精講がありますが、それも古くなりつつあり

新しい問題を解こうとしたら電話帳など過去問集しかないのが実情です。

しかし、政治や経済の事情は公務員試験など就職活動では大学受験でいう英語や数学のような主要科目なのでそちらに目を向ければ参考書や問題集が非常に充実しています。

また、地理や政治経済で受験できるような大学、学部だと時事理解が国語や英語にも役に立つ可能性が大なので、手厚く対策しておくに越したことはないのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

共通テストでセンター試験より読解力が下がる説

 共通テストは国語以外の科目、特に数学や理科でも読解力重視の傾向になっているのがセンター試験時代との大きな違いです。しかし、受験生にもっと読解力をつけさせたいという意図であれば大失敗かもしれません。

 多くの受験生にとってセンター試験では、国語の点数を安定させることが最大の課題でした。他の科目では安定して高得点を取れる受験生でも国語だけは大きく失点してしまうということがよくあったからです。だから、センター対策といえばまず国語、続いて文系なら理科・社会(+数学)、理系なら社会に時間をかけるのが一般的でした。

 ところが、共通テストでは国語以外でもほかの試験では見ないような問題が多く出題されます。一般的な記述模試で高得点が取れる受験生でも、共通テスト対策をしないと共通テストでの高得点はおぼつかなくなっっているのです。理系でも共通テスト対策として数学や理科に多くの時間を割かなければなりません。当然、そのぶん国語にかけられる時間は減るでしょう。

 国語以外でも読解力を要求する独特の出題を増やした結果、国語の勉強にかけられる時間が減ってしまうとしたら、受験生の読解力にあまりいい効果はないと考えられます。

 

おすすめ学習マンガルート(分岐後)

語彙力系のマンガを読み込んだ後、一般的に勧められるのは

 

徹底反復漢字プリントで読み方のみマスター

 →マンガでわかる中学○○

 

というルートです。このルートであれば、覚える知識は将来的に確実に使うものに絞られますし、学習マンガではない一般的なマンガについても読める作品の幅が広がるからです。

 

 

 

 

 難関中学の受験を意識する場合や、特定の分野に強い興味がある場合は詳しい背景知識の解説がついているシリーズがおすすめです。「ガクサン」60冊目でも紹介されているように、自分で選んだものを読むというのが最も効果的でしょう。

 中学入試に役立つ教養シリーズ

 

 

 るるぶマンガとクイズシリーズ

 

 

 

学習漫画のレベルとおすすめのルート(共通)

「ガクサン59冊目・60冊目」は学習マンガ回でした。

 ただ、私のメイン監修回ではないこともあって、それぞれの学習マンガを細かく説明したような内容にはなっていません。「受験参考書としての学習マンガ」について少し解説しておこうかと思います。

 「受験に必要な内容を効率良く学ぶ」という意味での学習マンガの定番が学研の「まんが攻略BON」です。このシリーズにはもとから「中学」シリーズと「中学入試」シリーズがあり、それぞれに特徴があったのですが、ここ数年で「中学」シリーズは新課程に合わせた大規模改訂により「まんがでわかる中学○○」シリーズとして生まれ変わっています。この改訂でさらにそれぞれの特徴が際立っています。

 「中学」シリーズはギャグのインパクトが強いのに対して知識量は控えめで、それぞれの科目の核となる理屈や知識を定着させるのに向いています。教科書やワークの学習をスムーズに進めるための導入、あるいは最低限の点数を効率よく確保する目的での使用に向いています。

 一方の「中学入試シリーズ」は情報量が多く、単独での学習でもかなりのレベルに到達しますが、文字が多いのでとっつきにくく、速習には向きません。向いているのは図鑑のように趣味的に眺めるとか、メインテキストのわかりにくいところを補強するような使い方でしょう。実は「小学生向け」学習マンガのほうが中学生向けと比べて内容が高度で文字の量も多いのです。

 ただし、中学入試向けの学習マンガシリーズは全ての漢字にふりがながついていたりもするので、漢字の読みを先取りしていない(≒中学入試は考えていない)小学生でも読めるというメリットがあります。

 以上をふまえて、おすすめの学習マンガルートですが、まずは語い力がないと内容理解が難しいところがでてきてしまうので語い力をつけるマンガから。

 マンガでわかる10歳までに覚えたい言葉シリーズ

 のびーる国語シリーズ(わりと男子向け)

 大百科シリーズ(わりと女子向け)

あたりをなるべく早いうちから読んでおくといいでしょう。

 

 

 

 

語彙大百科

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ことば大百科

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四字熟語大百科

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そのあとは効率重視か趣味重視か、中学受験をするかどうかなどによっておすすめルートが違ってきます。

 

北海道議会議員選挙(札幌近郊)および札幌市議会選挙の分析

 札幌市議会議員選挙では共産党が10→7、自民党が27→26、立憲民主党が19→18と議席を減らす一方、今まで議席を持っていなかった日本維新の会が5つの議席を獲得するという結果になりました。維新の会は北海道議会議員選挙でも議席を獲得しています。なぜこんなことが起きたのか。

 オリンピックが争点になった市長選挙や、現職が過去最高の得票率を達成した知事選挙とは違い、あまり大きく報道されることもなさそうなので、自分で分析してみました。

 結論から言えば、岩盤支持層の高齢化にコロナ化が追い打ちをかけたことで、ベテラン勢も含めて現職の組織が弱体化していたことが最大の要因だと思います。投票率が下がったので地盤を持つ現職が有利になりそうなところなのに、ベテラン議員が得票率を落とすケースが目立っているのです。ついで、与野党相乗りでオリンピック賛成派の市長を担いだことへの批判、岸田政権の増税姿勢が影響していた可能性もあります。

 まず、維新が道議会で議席を獲得した東区。2019年の前回選挙と比べて自民・渡辺、公明・阿良知両候補の得票率が大きめに下がっており、維新・山崎候補に流れたものと見られます。得票率が下がった両候補は67歳と、選挙区中最高齢でした。

 道議会選挙では、北区でも自民党の現職・吉川候補が革新野党系の新人・石川候補に競り負けています。ここでは保守系の新興勢力である参政党・境候補が6000票あまりを獲得しており、自民党から流れた部分もありそうです。

 札幌市議会選挙で維新の会が議席を獲得したのは定数が増えて8人の中央区、もともと定数の多い北区(10人)、東区(8人)に加え、豊平区(7人)や定数が減った南区(5人)の5区。上位で当選している候補もおり、決してまぐれの勝利とはいえないでしょう。

 中央区波田候補(34歳)は最年少ということもあり1万票以上を獲得し、自民の新人には大差をつけています。北区の荒井候補(38歳)も自民や共産の現職も上回る得票数で立民の現職に完勝。北区では最年少の無所属・浜川候補が3000票以上とっているので、年齢による上積みは限定的だったと思われます。前回は惜しくも次点だった南区の脇本候補も公明や自民の現職を上回る3位での当選で、共産と立民の現職を圏外に追いやっています。

 東区は自民の新人・山田候補がトップ当選する一方、同じく自民の現職が一名落選。維新・丸岡候補は時点の共産元職にも1000票以上つけて当選しました。豊平区の坂元候補は前回2倍以上の差をつけられていた立民のベテランを逆転しての当選。東区の自民同様、豊平区の立民もキャリアの短い方が当選し、長い方が落選しています。

 白石区では維新の小和田候補が落選しましたが、ここは前回まで上位の常連だった無所属議員がいたなどの事情もあって、4位の共産現職から次点(8位)の自民現職まで約400票以内に5名が集中するという大激戦区だったため、自民票を奪うのが難しかったのでしょう。立民を離党した無所属現職が上位当選、立民の現職と新人が絶妙な票数差で2人とも滑りこんだ結果、奇しくも前回までと同じ勢力図となっています。

 本来なら立憲民主党増税に反発する票を自民から奪うべきところだったと思うのですが、市長選挙でオリンピック賛成(≒増税)派の現職を自民党と相乗りで支援したことで、札幌市内では自民党と同じ穴のムジナというイメージで見られてしまったのでしょう。

国公立大学二次試験の難化について

 

 去年、今年と北大をはじめとする一部の国公立大学で明らかに問題が難化し、今までの過去問ベースの対策が通用しにくいという事態が起きているようです。

 背景にあるのは、やはり共通テストの傾向でしょう。一次試験である共通テストが極端に処理速度を重視するような出題になっているため、二次試験で処理速度重視の出題をすることの意義が見いだせなくなってきたということではないでしょうか。二次試験の個性が失われることには寂しさも感じますが、大学側としては共通テストへの当然の対応ということになるかと思います。

 医学部のように、易しい問題や典型問題を速く正確に解くことが将来的にも重要になる学部もありますから、すべての大学で処理速度重視の二次試験をやめるということにはならないでしょう。しかし、全体としてみれば共通テストの傾向が今のままなら二次試験難化の流れもかわらない可能性が高いと思います。

 従来から処理速度重視とは逆の傾向の出題が続いてきた大学の過去問などを利用するのがオーソドックスな対策になるでしょう。また、出版社の性質からこの傾向をいち早く反映させてきたのか、ただの偶然なのかはわかりませんが、学校などでは古い傾向に合わせた対策しかできないような人が新傾向に合わせるのにうってつけと思われる参考書も登場しています。

 

 

 

 

 

  

進学校の勉強についていくための中学生の数学学習レベル

 進学校の勉強についていくのに必要と思われる最低限の学力は、その地方の難関大学(北大など)を目指す地域トップ校の場合と、全国レベルの難関大学(東大、北大医学部など)を目指す地方トップ校ではかなりレベル感が違ってくることを今年も説明したいと思います。今回は数学について。

 理系に進む場合の数学の進度は、一般的に地方トップ校レベルだと高3の1学期中には数学3Cまですべて終了しますが、地域トップ校程度だと高3の2学期後半というのが一般的でしょう。地方トップ校レベルではふつう高2から文系と理系を分けますが、地域トップ校程度だと文系と理系を分けるのは高3時点ということが多いです。

 例年、北海道だと札幌南高校は他の地方トップレベル高校と同等以上ですが、北、西、東の各校は地域トップ校程度の進度になっています。

 そもそも高校数学と中学数学とでは、量も質も圧倒的な違いがあるということを知っておかなければなりません。首都圏で東大合格者数の多くが通う鉄緑会では、中学数学を1年で終わらせるのに対し、高校数学には5年かけます。もう少し詳しく説明すると、中1で中学数学、中2で数学1A(札幌北校の高1内容)、中3で数学2B(札幌北校の高2内容)、高1で数学1A2Bの入試標準(北大)レベル、高1の冬から高2の夏くらいまでは数学3C(札幌北校の高3内容)と数学1A2Bを並行、その後は東大レベルの演習となっています。数学3Cの習得には数学1A2Bのしっかりした理解が不可欠なので、数学1A2Bに3年近い期間をあてるというのは理にかなっていると思います。

 さて、地方トップ校の数学の進み方は、鉄緑会よりもかなり速いということになります。しかし、北野高校からは京大と阪大をあわせれば100名程度が現役で合格するなど、かなりの生徒がこのペースについていっていることがわかります。今年の日比谷高校や横浜翠嵐高校の東大合格者数に昨年ほどのインパクトはありませんが、日比谷高校は医学部、横浜翠嵐高校東工大や京大の現役合格者が結構いるなど、やはり札幌南高校と比べれば数学についていけている生徒が多いように見えます。

 札幌南高校は東大理三の合格者がわりとよく出ているなど、トップ層に関しては他の地方トップ校と比べても同等以上だと思いますが、それに次ぐ上・中位層では結構な差をつけられていると言えそうです。信ぴょう性は微妙ですが共通テストの平均点などでも差があるようです。やはり、高校入学時点での学力差が響いているのではないでしょうか。首都圏や近畿ではそもそも公立上位校の入試問題が難しいですし、難関私立高校と併願するのも一般的なのです。難関私立高校の入試では数学1Aの結構な部分が出題範囲に含まれていますから、その対策をしていれば高校数学にスムーズに入れます。ちなみに、私が入学した当時のラ・サール高校では数学1Aのうち高校入試の範囲に含まれていないと思われる二次関数と三角比がすべて入学までの宿題となり、入学式の翌日くらいにはそのテストが行われました。入学時点で、曲がりなりにも数学1Aは既習だったことになります。

 北海道の高校に合わせると、札幌南高校なら入学するまでには数検2級(数学1A+2Bのごく基本部分を学習すれば受かるレベル)、その他の進学校なら入学するまでに数検準2級(中学数学+数学1Aのごく基本部分を学習すれば受かるレベル)くらいを目標にするといいのではないでしょうか。入試での、英語と数学の大きくしている札幌北高校の配点はこの意味では非常によく機能しているのではないかと思います。