天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

リソー教育の粉飾決算について 簡単な解説

首都圏の個別指導塾「TOMAS」や家庭教師派遣の「名門会」を運営するリソー教育が、粉飾決算についての第三者委員会による報告書を公開しています。
http://www.riso-kyoikugroup.com/ir/pdf/2014/20140210.pdf
メディアでも報道されていますね。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD100WX_Q4A210C1TJ2000/

リソー教育は、セールスマン出身の会長が強力なリーダーシップを発揮する営業力の強い会社として知られているので、novaのような特定商取引法違反事件を連想する方が多いと思いますが、今回の件は金融商品取引法違反。novaよりlivedoorの事件に近いのです。

さて、両者の違いをざっくり言うと、特定商取引法違反が教材を売りつけるなどして一般消費者から不当にカネを巻き上げる行為であるのに対し、金融商品取引法違反は株を売りつけるなどして投資家から不当にカネを巻き上げる行為。実際に昨日、リソー教育の株価は暴落しており「投資家はいい勉強をさせられた」「株主にスパルタ教育」などと言われているゆえんです。
 
リソー教育はここ数年利益が落ち込んでいたにも関わらず、売り上げを過大に計上して順調に業績を伸ばしているように見せかけ、配当を引き上げるなどして投資家に株の購入を促してきました。特に昨年は海外での公募増資によって54億円の資金を調達しています。粉飾した決算に基づいて54億円を調達したということは、海外の投資家からしてみれば54億円をだまし取られたことになるわけです。その54億円分の株がいつ誰に転売されたかなどは判明していないので、誰がどれだけの損害を出したかはわかりません。一時は高配当の注目銘柄として雑誌に取り上げられることもあったので、NISAの資金で買ってしまった個人投資家が結構いるのではないかとの見方もあります。ともかく、金融商品取引法の規定によってリソー教育はその損害を受けた投資家に会社として賠償しなければなりません。仮に上場廃止ともなれば、賠償金額は莫大なものにならざるを得ません。また、以下の規定によって金融庁からも億単位の課徴金が科せられるでしょう。
http://www.fsa.go.jp/policy/kachoukin/b.html

 なお、今からリソー教育の株を買って損するのは完全に自己責任。今後の値動きによっては利益を出せる投資家もいるでしょうが、リスクが割に合うとは思えないので私は買いません。