受験を語る動画や記事を見ていると、今でも「数学0点で東大に受かる」というようなことがたまに言われてるようですね。
結論から申し上げて、これはデマです。信じてはいけません。
正しくは「数学0点でも東大に受かる時代があった」もしくは「数学0完でも東大に受かる」でしょう。
まず、「数学0点でも東大に受かる時代があった」について。実は東大の数学は2000年前後、21世紀に入る頃に大きく傾向を変え、全体的に点数が取りやすくなっています。たしかにそれまでは問題が難しすぎてほとんど差がつかず、数学でほとんど点を取れなくても他の科目でカバーして合格することが可能ということが多かったのです。実際、そのパターンでの合格者も少なくないことから、彼ら彼女らが自分の経験を語るときに「数学0点でも受かる」となるわけです。
つぎに「数学0完でも受かる」について。これは最近でも年度によってはそういう受験生が多い年があると思います。年度によっては、というのは、「さすがにこのくらいは完答できないと厳しいだろう」という、いわばボーナス問題が出題される年度とそうでない年度があるから。しかし、大問単位でのボーナス問題がない年度でも大問の前半にはいくつか易しい設問がついていることがほとんどです。「完答は難しいが、部分点を取るのは難しくない」というのが今の東大数学では主流のレベルなのです。したがって、「0完でも受かる」というのは正しいのですが、20世紀の「0点でも受かる」というのとは全く意味が異なります。実際の合格者は0完でも部分点をかき集めて3〜4割程度は得点しているケースがほとんどでしょう。
そして、東大数学で部分点を稼ぐことをコンセプトにした問題集は、わりと頻繁に改訂され売れ続けています。