天流仁志の受験情報ブログ

東大法学部(政治コース)卒、受験戦略研究の専門家です。ノウハウの大部分は「学習の作法」を始めとする著書で公開しており、本ブログは今のところその補完的な位置づけとなります。趣味の選挙の話もたまに書きます。

開成出身の岸田総理が東大に落ち続けた理由を考察してみる

今日、岸田文雄第100代総理大臣が誕生しました。

岸田総理といえば開成出身のエリートというイメージがあり、本人が「東大に3回も落ちた」と述べてそのイメージを払拭しようとしたエピソードがニュースにもなっていました。

 

bunshun.jp

 

 岸田総理は名門の麹町中学校から開成高校に進学しています。名門の中学や高校で先生や同級生の話をよく聞いていたのであれば、当然のように東大に受かってそうですよね。しかし、そうならなかったのはなぜか。

 まず、当時の開成は今ほどの圧倒的な進学校ではなかったことを指摘しておく必要があるでしょう。岸田総理が高校生だったころの東大合格者数ランキングでは灘と教育大付属駒場(今の筑駒)がトップを争っており、開成はその次の3番手グループの一角という位置づけでした。その頃はいわゆる御三家の中でも麻布が開成より格上と見られていたくらいです。そもそも、今ほど開成だから東大が当たり前というわけではなかったということです。

 もう一つ、これはあくまで私の感想ですが、岸田総理は暗記や公式の適用は得意だが、少し違う視点からものごとを考えて自由な発想をするのは苦手という、ステレオタイプな受験秀才タイプだったのではないかという可能性があります。昔からこういうタイプは一部を除く高校入試や私立大学入試では強いのですが、東大受験には不利。なぜこのような感想をもったかというと、今回の岸田総理による閣僚および自民党役員の人事がある面においては非常に優れていると思われる半面、別な見方をすれば非常に稚拙と思われるからです。

 今回の岸田総理の人事は、総裁戦でのライバルをうまく処遇しながら長老たちの意向も汲みつつ野党やマスコミからは叩かれにくいという意味において優れていると思います。難しいパズルを見事に完成させた、という印象。一方、一般庶民からは「代わり映えしない」大臣、「国民をバカにしている」党役員と見えかねません。党役員には失言癖や過去の不祥事により、大臣にしてしまうと野党やマスコミから叩かれそうな面々がそろっている、というか、揃いすぎているからです。言わずと知れた失言王の麻生副総裁に「ワイロ甘利」幹事長、過激派にツーショット写真をまんまと利用された「ネオナチ早苗」政調会長、不正の証拠が入ったハードディスクをドリルで破壊したという「ドリル優子」組織運動本部長、やはり失言の多い河野太郎も大臣ではなく党の広報本部長、そして極めつけが「パンツ高木」国会対策委員長

 

news.yahoo.co.jp

 とくにせっかくブラックな印象の二階幹事長を下ろしたのに、後任に真っ黒な印象の「ワイロ甘利」というのはあんまりではないでしょうか?東京では河野や高市支持だった自民党支持層を取り込もうというか、単に自民党の足をひっぱるだけになりそうな動きも出てきているようですし、衆議院選挙がおもしろくなってきましたね。